数学

線型代数の線型の意味って何でしょうか?

ベクトル空間とか線型空間とか言ったりしますが、これらは実は同じものなのです。線型代数は大学で一番初めに勉強する科目の一つですが、あんまり良くわからないよって方も多いのではないでしょうか。今日はそんな線型代数がわかると何が楽しいかや、何で線型代数は大事なのかについて語っていこうと思います。厳密性は考えずに気楽に考えていきたいと思います。

何かを学ぶ上でモチベーションはすごく大事だと思います。

そもそも線型ってどういう意味なのか考えてみたことはありますか?ベクトルと行列はどういう関係にあるのでしょう?

今回はこの疑問を通して線型代数の重要性について説明していきたいと思います。ちなみに代数がどういう意味かについては一切解説しません笑

ベクトル空間(線型空間)とは

私は数学の人間ですし先ずは、定義を書いておこうと思います。これを講義の一番初めに見せられて、トラウマになっている人もいますが、意味さえわかれば怖いものは何もありません。

この定義のどの辺に具体的な行列とかベクトルが関係しているのかさっぱりわからなくなって、線型代数を諦めたという人も聞くぐらいですので、数学に対する免疫がない人がやるには抽象的すぎるのかも知れません。

線型代数の目標の一つは下の定義が自然だと思えるようになることです。

集合Vが実数体\mathbb{R}上のベクトル(線型)空間であるとは
任意のv_1, v_2 \in Va \in \mathbb{R}に対して以下の加法群とスカラー倍の構造を持つことである。

(1)                     \begin{align*}                                 & v_1 + v_2 \in V \\ 			 	& a v_1 \in  V  			 \end{align*}

即ち和とスカラー倍が定義されている集合のことをベクトル空間という。

上の定義の意味は簡単でまとめるとこうです。

簡単化した定義
  1. 足し算が定義できる。
  2. スカラー倍が定義できる

以上です。ちょっとでも簡単だと感じてくれたら嬉しく思います。
この定義が難しいと思う原因はこれらの具体例についてはたくさんあるけど、どれも違って見えてしまうということだと思っています。

何を隠そう全ては実数空間のことなのです。

線型空間とベクトル空間は同じ意味ですが、線型\neqベクトルです。というよりむしろ線型性を持つものをベクトルと呼ぶわけです。

具体的には2次元実数空間はベクトル空間です。所謂xy平面ですね!

この場合ベクトルは矢印で表せます。ここでベクトルと言っているのは2次元実数空間の元のことです。どんなに一見複雑そうに見えてもベクトル空間と呼ばれるものには矢印っぽい性質があるよって事がわかるので定義は偉大なのです。

線型=一次=”簡単”

線型代数の線型とは簡単という意味である。
先ず1つ答えを書くと線型代数の線型とは一次式とか一次関数とかの一次という意味合いで使われることが多いです。
線型代数は難しいものを簡単にしようとした結果生まれたとも言えます。

具体例を挙げます。f(x) =ax +bというのは中学校で習う一次関数です。
この一次の係数aが行列になります。

ただの数やんって思った方もいるかも知れませんが、彼もれっきとした1 \times 1
の行列です。
2変数に拡張してみましょう!

 f(x, y) =	 		\begin{pmatrix} 		a & b   		\end{pmatrix} 		\begin{pmatrix} 		x \\ 		y   		\end{pmatrix}                                	+                  \begin{pmatrix} 		x_0 \\ 		y_0   		\end{pmatrix}

ここでいうところの
 \begin{pmatrix} 		a & b   \end{pmatrix}
が行列です。特にJacobi行列といいます。
ここでは
 \begin{pmatrix} 		x\\                 y  \end{pmatrix}
も行列と思うことも出来ますが、敢えて区別してベクトルと呼びます。理由は後で説明します。

1変数関数が直線に対して、2変数関数は平面の方程式になります。
どちらも曲がっていないからこそ扱いやすい式なのです。

1次であるということはそれだけ扱いやすい式であり2次関数くらいまでは実は線型代数でもどうにかなります。むしろ一般の関数を近似値で評価するときに一番初めに考える考える手法です。

つまり線型代数は関数を調べる武器という側面があるのです。関数の極値を判定なんかもできます。

ベクトル空間はたった2つの特徴で全て決まる

線型代数とは関数を簡略化して変化量を調べることが出来るわけですが、シンプルだという証拠にベクトル空間は次のたった2つの情報で決まってしまいます。

  1. 次元

なんとベクトル空間は上に挙げたたった2つのことで決まる自明な空間のことだったのです。
しかも今回体といっているのはスカラーのことです。つまり実数体での話をしているので実質ベクトル空間を決めるのは次元だけです。今は話の都合上実数体しか考えないですが、複素数体を考えたりはします。

次元という言葉を簡単に説明するとベクトル空間の独立な方向の数です。

厳密には証明しなければなりませんが、次元という量はベクトル空間に対してただ1つ定まります。

あるベクトル空間Vを考えましょう。こいつの次元がたまたまn \in \mathbb{N}だとわかったとします。
このときVn次元実数空間\mathbb{R}^nと線型同型であるといいます。
平たくいうとベクトル空間として見れば何も変わらないよということです。

そして全ての\mathbb{R}^nの線型写像は行列で書けるのです。

ここで線型写像という言葉が出てきました。線型写像というのはベクトルをベクトルに変換するもののことです。行列のことを一次変換ということもあります。
だから線型写像として \begin{pmatrix} 		a & b   \end{pmatrix}
を行列と呼び、
 \begin{pmatrix} 		x\\                 y  \end{pmatrix}
を変換させられるベクトルと呼んだわけです。

線型空間の定義からはややこしい印象を持った方もいるかも知れませんが、所詮\mathbb{R}^nなのです。
どんなに一つ一つが矢印っぽくなくても、一見変な風に見えても抽象ベクトル空間の定義さえ満たしていれば所詮\mathbb{R}^nなのです。
これがどんなに素晴らしいことかはまた次の機会に説明したいと思います。線型写像についても次回はもう少し詳しく説明したいと思います。

今回のところはPDFも現在作成中なので、完成したら上げようと思います。

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