幾何学

Hopf-Rinowの定理から見た物理と幾何学の関係

多様体についてある程度知っている読者向けに書いてみました。以下に私が書いたPDFを置いておきます。
微分幾何ー接続からHopf-Rinowの定理

まぁ本当はそういうわけではなく、ただの大学時代のノートですごく中途半端なやつがあったので、ついでにまとめてみただけです。ノリは微分方程式の解の存在と一意性に近いです。最後に付録としてつけています。

Hopf-Rinowの定理の位置づけ

Hopf-Rinowの定理も、重要な定理の割には授業とかで証明されない定理の印象があります。Stokesの定理くらい基本的な定理なら授業で証明されるんですが、やっぱりみんなその先にあるGauss-Bonnetとか指数定理とかに行くわけです。何と言ってもこの定理自体は1931年ですからね。

一言で表すなら、Riemann多様体は計量によって距離空間としての構造を持ちますがその距離空間の完備性と測地的完備性が同値だという定理です。

測地的完備性とは、測地線を定めるベクトル場のフローが実数全体で定義出来るという意味です。

一般にコンパクトな多様体のベクトル場のフローは実数全体で定義出来ることが知られています。

またこの事実はRiemann多様体に対して成り立つもので、正定値の計量であるということが大きな役割を果たしていることに留意して下さい。

そもそも正定値でないと距離空間にもなりません。

物理的との関連

私の興味はもともと相対論とか解析力学が好きなので、最小作用の原理に通じている数学と言えるかもしれません。

数学としては、前者がLorentz幾何学で後者がSymplectic幾何学ですね。どちらも物理学がそれらの具体例を与えています。

こういう物理的な動機が強いとなかなか微分幾何学といえども、視野は狭くなってしまいます。物理は局所的な事象に興味があることが多いので多様体全体で決まる大域的な特徴量に興味がないことが多いです。

今回のHopf-Rinowの定理はそういう意味では純粋な幾何的な定理と言えるでしょう。曲面論の延長にある定理で
大域的な話はあまり出てこないです。物理的には粒子の運動の軌跡に関係しています。相対論では世界戦と言ったりします。

一般相対論で出て来る物理的対象、連結で時間的に向きづけられたLorentz多様体を時空と言いますがこれには、直接的なHopf-Rinowの定理の類似が成り立ちません。

この手の擬Riemann多様体への応用の話はBarret O’Neillの本に詳しく書いてあります。

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